10月末に作品の募集を締め切り、全73作品(A部門32作品、B部門41作品)の応募をいただきました。今回は特別審査員にジュリアード音楽院のジョナサン・ダウ氏を迎え、海外からも幅広く作品を募集しました結果、73作品中19作品が海外からの応募となりました。 平成26年11月15日~17日にかけて行われた譜面審査(審査委員長 小嶋貴文)により、本選会での演奏作品(入選作品)を決定いたしましたので、入選者名と入選作品名をお知らせいたします。
洗足現代音楽作曲コンクールは今回で3回目を迎える。第2回目の本選会を平成25年4月に行ったが、まだ記憶に新しい。 1年の歳月を経て、平成26年10月末日を締め切りとして第3回目の作品を募集した。 例年通り2部門を開催し、A部門はオーケストラ作品、B部門は鍵盤楽器部門とし、ピアノ、パイプオルガン、チェンバロ、チェレスタの作品を募集した。 応募総数は73作品、内A部門は32作品、B部門は41作品である。審査委員長としてコンクールの運営にも関わっているが、コンクールの質を高めていく上での1つの課題は応募作品数を増やすことである。 第1回目の応募総数は33作品、第2回目は43作品であるから、大きく伸びたといって良い。
つづきを読む
応募数が伸びた理由は主に3つある。一つは応募料を1万円から無料にしたこと、二つ目はB部門が鍵盤楽器部門だったことである。 やはり鍵盤楽器、特にピアノに関わる人口は他の楽器と比較して圧倒的に多いということを感じざるを得ない。三つ目の理由は、海外への周知に力を入れたことである。 世界の音楽大学に周知するなどして海外からの作品を増やす施策を取ったが、結果として19作品が海外からの応募となり、全体の26%を占めている。審査の結果、入選12作品中3作品が外国人の作品となったが、これは全体の25%、図らずも応募の比率と入選の比率がほぼ同じとなった。
さて審査は本学会議室にて平成26年11月15日にB部門、17日にA部門の審査会を行った。審査員は事前に匿名のスコアを閲覧できる時間が与えられ、審査会は議論を中心に行った。
A部門は全33作品と多くの力作が並べられた。例年のことだが、ハープやピアノが入っているなど編成が異なっている作品や、演奏所要時間が規定以上の作品などが数作品あった。 これらにも力作はあったが本コンクールで演奏することができないことを確認し、最初の段階で選出を見送った。 続いて審査員がそれぞれの作品へ得点を付けたものを集計し、その結果に基づき議論を行った。 なお、今回はジョナサン・ダウ氏に特別審査員をお願いしており、氏には事前にAB両部門の譜面審査の採点と作品に対する意見を頂いた。 さまざまなスタイルの作品があり議論も弾んだが、まずは得点順に上位作品を選ぶことができた。 しかし、得点では上位になったものの演奏困難ではないかとして議論となった作品があり、結論として審査員全員が不可という意見で一致し選出を見送った作品があった。つづく得点のラインには多くの作品が集中しており、この選出において意見が大いに分かれ時間を要することとなった。 いろいろな議論はあったものの結果として得点順となった。この日は想定していた審査時間を大幅に超えて、ようやく終了することができた。
B部門の審査もA部門同様、ダウ氏の採点を含めた得点に基づき議論を行った。残念ながら播本氏は都合により審査会に参加することはかなわなかったが、事前に譜面審査を終えられ採点結果をいただいていた。 まず、B部門の楽器別の内訳だが、オルガンが4作品、チェンバロは3作品、チェレスタは2作品、残るピアノが32作品となっている。 得点順に各作品について議論を行っていく形で進められたが、高得点を得ている作品の中に内部奏法を多用した作品があった。 意欲的な作品ととらえられ比較的高得点を得ていたが、本コンクールの規定で内部奏法は許可していない。 新しい音楽を広く普及させることを目標に掲げて始められた本コンクールにとってこの条項には意味があると考えており、結論として選出には至らなかった。 こういった作品が応募され議論となったことは、一つの経験として今後の糧としたい。 高得点のピアノ作品の中に演奏不可ではないかと意見が出た作品があった。 これについて長時間の議論を要したが、結果として絶対に演奏不可能とまでは言えないのではないかという形で決着し、入選が決まった作品があった。 演奏が困難であることに違いは無く、本選会での好演に期待を寄せるのみである。 続いて、高得点の中に僅差の得点でオルガン作品が2作品あり、どちらを入選とするかで議論が行われた。 どちらの作品にも推薦する審査員がおり議論は平行線であったが、2作品演奏できる時間的な余裕はあるだろうと判断し、 2作品を選出するに至った。なお、チェレスタやチェンバロの作品も興味深いものはあったが、高得点のピアノ作品やオルガン作品と比較して、それらを凌駕するといった意見は出なかった。
以上のように本選会への選出が行われたが、続く演奏審査での響きが楽しみである。 残念ながら入選に至らなかった作品も多いが、本コンクール外で演奏の機会に恵まれることを期待したい。
最後に、本コンクールが新しい音楽の創造、普及の場となり、音楽文化発展の一翼を担うことを期待するとともに、審査委員長としてその責任を全うしたい。
平成27年2月3日
審査委員長 小嶋貴文
会場:洗足学園 前田ホール 両日ともに入場無料(USTREAMで中継予定)
A部門 2015年4月15日(水) 19:00 開演(18:30 開場)
B部門 2015年4月16日(木) 19:00 開演(18:30 開場)
A部門 1位 100万円 2位 30万円 3位 10万円
B部門 1位 40万円 2位 20万円 3位 10万円
特別審査員賞 各部門10万円
各部門の第1位受賞作品は、後に洗足学園が主催するコンサートで演奏します。
↑クリックで拡大表示↑